薬物療法は治療の基本となる部分です。患者さんに侵襲的(切ったり注射したり体に外的な負担をかけること)な負担をかけることなく治療することができます。しかし、痛みの薬は副作用も多く存在するため適切なコントロールが必要となります。
ペインクリニックでの薬物療法は、「病気・痛みの種類と性状」から薬をえらんでいきます。
ロキソプロフェンのような薬は多くの病気に効果がありますが、病気の中には特有の薬がより良い効果を与えることがあります。例えば、三叉神経痛に対するカルバマゼピンや片頭痛に対するトリプタン製剤などがそれらに当たります。対症療法のものもあれば、根本的解決につながる薬もあります。
病気の診断・痛みの原因の探索はもちろんですがそれに加えて、ペインクリニックでは図のように、痛みを細かく分類します。(これは一部です)
それぞれの痛みに対して薬を処方していきますが、ほとんどの患者さんはどれか一つの痛みというよりは色をつけた部分のように2つ、3つの痛みが重なっていることが多いです。どの痛みが中心となっているかを判断し、様々な薬を併用していきます。
ペインクリニックでよく処方する薬をごく一部ですが、説明します。
侵害受容性疼痛に対して処方することが多い薬です。炎症が強い場合に効果を発揮します。手軽に手に入る為、利便性の高い薬ですが、胃腸障害や腎障害などの重大な合併症もあるため、適切な使用と中断が必要になります。
侵害受容性疼痛に対して処方することが多い薬です。認知度も高く副作用も少なく良い薬ですが、適切な量を内服しないと鎮痛効果を発揮しません。また肝障害が副作用としてあるため経過観察が必要です。
神経障害性疼痛に対して処方する薬です。神経障害性疼痛ガイドラインにおいても一番初めに登場します。神経痛に有効な薬ですが、めまい・眠気・ふらつきが副作用として出現する確率が高いため、高齢者には繊細なコントロールが必要です。
神経障害性疼痛に対して処方する薬です。神経痛等には有効であり、よく使用されます。副作用として、のどの渇き・めまい・ふらつきなどがあり、また急に中止すると離脱症状などもあるため、注意が必要です。
麻薬系鎮痛薬です。幅広い病気に強い鎮痛効果を発揮しますが、吐き気や便秘などの副作用も存在します。また片頭痛には不適切であったりと決して万能というわけではありません。
私が在籍していた大阪医科薬科大学では、西洋医学と東洋医学を融合させて素晴らしい治療成績を残しておりました。当院では、一般的な治療薬で効果が不十分であったり、症状の軽快が見られない場合、積極的に漢方薬も使用しています。
「急性期はダイナミックに、慢性期・安定期は必要最小限に」を大切にしています。急性期の辛い時期はしっかり薬の効果を出せるように投与し、必要ならば点滴もおこないます。慢性期や安定期に入ると、最小限に薬を絞り他の内科の薬などと併用しやすく、内服するのが辛くない程度にコントロールしていきます。